YAMAGATA CINEMA PARADISE vol. 2 ~『家へ帰ろう』映画都市Lodzへ! ~
YAMAGATA CINEMA PARADISE vol. 2 |
『家へ帰ろう』
(2017/93分/スペイン・アルゼンチン)
(英題 The Last Suit / 原題 El ultimo traje)
映画都市として認定を受けたユネスコ創造都市やまがたのスタッフが、各々のおすすめ映画をSDGsとともに紹介する新コーナー「YAMAGATA CINEMA PARADISE」。
今回はラテンアメリカ映画も好きな元YIDFFスタッフのKがお送りします🐈
私のおすすめ映画は
『家へ帰ろう』です🏡
アルゼンチン・ブエノスアイレスに住むアブラハムが、老人ホームになんか入ってたまるかと、親友にスーツを届けにポーランドを目指す珍道中を描いた作品です。
あらすじ
ブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立て屋アブラハムは、単身ポーランドへ向かう旅に出る。目的は第二次大戦中にナチスドイツから匿ってくれた親友に最後のスーツを手渡すこと。ドイツを通過することを拒み四苦八苦するも道中で出会う女性たちに助けられ、頑なだった心が解き放たれてゆく。監督自身の祖父の家で「ポーランド」という言葉がタブーであったことから発想を得て作り上げた感動のロードムービー。
ユダヤ人であるアブラハムには、ホロコーストの際に親友に助けられたという過去がある。ドイツなんか通りたくないけれど、マドリッドからパリで乗り換えてドイツを通らなければ、ポーランドにたどり着けない。
さて、どうする?!
アブラハムが道中やらかす事件と旅で出会う個性的な人々との会話はクスクス笑え、そして次第に心を許していく様子がとてもほほえましい作品です。
個人的なこの映画の見どころの一つが、アブラハムが向かう先がポーランドのLodz(ウッチ)であること。山形市と同じく2017年にユネスコ創造都市ネットワーク映画部門に加盟したウッチは、2018年6月に開催されたユネスコ創造都市ネットワーク年次総会がポーランドで開催された際に山形の代表団が訪問した都市で、フィルムコミッションの活動などをご紹介いただきました。
ウッチの街並みを思い出しながら、「映画を通して世界とつながる、知る」ということの意味を改めて考えました。
SDGsは16番(平和と公正をすべての人に)。
国も習慣も歴史的背景も性別も世代もそれぞれ違うけれども、それらを超えてお互いに認め合い、許し合わなければ、先にすすめない。そしてそのためには、交流や対話を通して、お互いを知る必要があるということを考えさせられる、ぜひたくさんの方に見てほしい作品です。
山形ではフォーラム山形で1月末に公開されました。もしかしたら、どこかの映画館で観ることができるかもしれません。
『家へ帰ろう』予告編
*「YAMAGATA CINEMA PARADISE」は事務局員が 「これだ!」と思う映画に出会った時に更新するので、不定期更新です。
*この意見は個人によるもので、山形市や山形市創造都市推進協議会を代表するものではありません。
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