やまがた創造都市国際会議2019を開催しました!
2019年10月16日(水)、30周年を迎えた山形国際ドキュメンタリー映画祭2019の期間中、やまがた創造都市国際会議2019をフォーラム山形で開催しました。
やまがた創造都市国際会議とは、創造性がどのように持続可能な都市の発展において貢献できるかを議論し、その先の未来を担う若者を刺激することを目的とした国際会議です。特に若者にとって、創造都市ネットワークの理解を深め、国際社会の一員としての自覚を芽生えさせ、社会問題に対してともに取り組もうとするヴィジョンを共有する場を目指しています。
2017年から始まり、第3回目を迎えた今回のテーマは『世界とつながる映画のチカラ』。
ゲストには、
○ 監督・脚本家の大友啓史監督
○ 俳優の眞島秀和さん
○ NHKディレクターの倉崎憲さん
以上 3名の豪華ゲストをお迎えし、日本映画界の第一線で活躍する監督や俳優とともに、映画のもつ創造性や可能性、そして世界とのつながりについて考えました。
オープニング 〜山形市ってどんな場所?〜
オープニングとして、山形市で行われているドローンの認知度向上及び新ビジネス創出に向けた取組である「山形ドローンムービーコンテスト」(YAMAGATA Drone Movie Contest 実行委員会主催)の2019年度受賞作品とユネスコ創造都市やまがたのプロモーションビデオを上映。映画のスクリーンに映る、移り変わる山形の四季の彩りや上空からの山形の雄大な自然は迫力満点!日常ではできない映像体験となりました。
[第1部] 大友啓史監督による基調講演『 映画を創る、世界を拡げる 』
山形市内でロケが行われた『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』や『3月のライオン』2部作、2020年に最新作『影裏』、『るろうに剣心 最終章』が公開予定の大友啓史監督より基調講演をして頂きました。
テーマは『映画を創る、世界を拡げる』。
2020年に二部作の公開が予定されている映画『るろうに剣心 最終章』の撮影秘話や、NHKを辞め”情報”を伝えるテレビの世界から”体験”を共有する映画の世界に移って感じた違い、海外で美術館巡りをすることによってエネルギーをもらっていて、絵画の真っ白なキャンパスに描くこととフレームの中で映画を成立させることはとても似ているなど、日本だけでなく世界の第一線で活躍する大友監督のお話に来場者の皆さんは興味深く聞き入っていました。
また、2020年に公開が予定されている映画『影裏』について、この作品は大友監督の出身地である岩手県盛岡市で制作を行なっており、クラフトビールと同じようにすべてを地域で調達する「クラフトムービー」であり、こういった「クラフトムービー」による地域おこしの効果についてお話してくださいました。
まず地域全体で協力して映画を創り上げることによってその地域に住む人がその場所のファンになり、公開されてたくさんの方に観てもらうことによってその場所のファンが増えていく。そんな「クラフトムービー」という言葉は、大友監督の造語だそうです。持続可能な地域おこしの理想的な取り組みとして全国に拡がっていくと素敵ですね。
[第2部] 倉崎憲さんによる基調講演『 映像制作の魅力 』
学生時代にラオスで小学校を建てた経歴を持ち、映画にもなった「僕たちは世界を変えることができない。」(星雲社)で写真を担当、監督した山形発地域ドラマ『私の青おに』には今回第3部のクロストークのゲストとしてお迎えした眞島秀和さんも出演している、NHKディレクターの倉崎憲さんをお迎えして基調講演をして頂きました。
テーマは『映像制作の魅力』。
ラオスで小学校を建てるに至った経緯や映画『僕たちは世界を変えることができない』について、ニューヨークのフィルムアカデミーでの言葉の壁による挫折の経験から、偶然知り合ったハリウッドのプロデューサーから学んだこと、ラジオドラマ「世界から猫が消えたなら」はどのように生まれたか、NHKの番組「ドキュメント72時間」や山形発地域ドラマ『私の青おに』の撮影秘話など、特に若い世代がこれからの参考として聞きたい生の体験談と軽快なトークに会場は時折笑いに包まれました。
「1人の100歩より100人の1歩」や「人生、一度きり 一日一生、一生一度」という言葉をご紹介くださり、様々な経験を経て今も第一線で活躍する倉崎さんの言葉を来場者の皆さんは思い思いに受け取ったようです。
[第3部] クロストーク 大友啓史監督 × 眞島秀和さん × 倉崎憲さん
最後に、山形県米沢市出身で大友啓史監督の映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』やあの大人気ドラマ・映画にもなった『おっさんずラブ』にも出演している俳優の眞島秀和さんをお迎えし、大友監督と倉崎さんとともにクロストークを行いました。
トーク前半は大友監督・倉崎さんお二人ともの監督作品に出演経験がある眞島さんに関する話題で盛り上がりました。
以下トーク抜粋:
Q 山形にルーツを持つことで現在のご活躍に活かされていることは?
眞島さん「山形で撮影が行われた『スウィングガールズ』に出演し、当時20代後半で俳優を続けるか悩んでいたときでした。地元・米沢での撮影が楽しくて、今も役者を続けられています。」
Q ラジオドラマ『迷走』、『私の青おに』で眞島さんをキャスティングした理由は?
倉崎さん「声が相当渋い!ラジオドラマでは役者の皆さんの声と音楽と音響で全てを表現しないといけないので、まずは声の良さ。そして素敵な佇まい。全てです。」
Q 『るろうに剣心』で眞島さんをキャスティングした理由は?
大友監督「『るろうに剣心』前にNHKドラマの『白洲次郎』でいい役をやっていただいて。」
眞島さん「『るろうに剣心』の役は死んでしまったので続編に出演できず残念です。」
大友監督「眞島くんって嘘がない感じがいいよね。芝居が根を張っているというか、僕、好きよ♡ 僕らは東北人だから、東北の人間って我慢強かったり寡黙であったり、震災の時も行儀よく配膳の列を待っていたり世界的に賞賛されたりしたけど、骨というか軸が強い気がする。」
眞島さん「気質的に良いところでもあり悪いところでもあって、セルフプロデュースが上手くないということ。自分をうまくプレゼンして行くのはきっと苦手で、ただ自分がやるべきことをまっすぐやっている気がします。」
Q 大友監督、大友組の現場って?
眞島さん「相当時間かかりますよ。僕の大友組の印象として、それぞれの役者の一番いいところを切り取ってくれるっていう信頼があって、そこを全て監督に預けるっていう空気だっていう印象です。」
大友監督「時間もかかるしお金もかかるよね(笑)」
Q 今回のテーマ『世界とつながる映画のチカラ』について
倉崎さん「例えば『るろうに剣心』はワーナーブラザーズ配給ということもあって、いろんな地方で撮影したものが世界でも見られて、その作品を気に入った方々や撮影地を気に入った方々が世界からその地を訪れるっていう流れも少なからずあると思うんですけど、地方が直接世界とつながるっていうことに対して何かありますか?」
Q 地方が世界と直接繋がるには?
眞島さん「僕は山形の米沢出身なので、ロケ地に人が来ていただくことが直接つながると思います。人に来てもらわないと寂しくなっていく一方なので、活気を求めるには人に来ていただくというのが映画にもつながると思います。」
大友監督「とにかく純粋に良い映画を作るということが一番大事。」
Q 眞島さんはどんな作品に出てみたいですか?
眞島さん「自分はとにかくいろいろな仕事をしたいので、来た話はどんどん受けたいです。」
クロストーク後半は、来場者の皆さんとのQ&Aセッションを行いました。
Q ご来場者様「私は演技の勉強をしているので、眞島さんにお聞きしたいです。「置きに行く芝居をするな」と注意されたことがあるのですが、表現する際に、監督にどのように受け止められるか怖いと思ったことはありますか?また、演出のお二人は俳優にどんなことを求めますか?」
眞島さん「とりあえず思い切りやってみて、どんな風に受け止められるか確認して修正すれば良いので、表現する前に怖がる必要はないと思います。」
倉崎さん「自分はまだ31歳で俳優さんは年上の方が多いので、いろいろな相談を受けて、俳優さんのアイディアを取り入れて演出しています。本番ではまた違ったものが出てくることがあり、結果的に良いものが出来上がりました。」
大友監督「正解がないものなので、自由にやって試してみるのが良いと思います。」
Q ご来場者様「映画館がない奈良で映画を作っていますが、奈良以外の場所にどのように広めていけば良いか悩んでいます。」
大友監督「『影裏』では、盛岡のさんさ祭りで宣伝がしたくて急きょ宣材のうちわを作って配りました。ネットも含めて、使える宣伝ツールはなんでも使っていく。その映画の魅力について熱を持って語れる人が地道に宣伝を広げていくしかないと思います。」
今回の会議では山形に所縁のあるゲスト3名をお迎えし、それぞれ違った立場で日本映画界の第一線で活躍する皆さんのお話をお聞きすることができました。遠方からこの日のために山形までいらしていただいたお客様も多く、”ユネスコ創造都市やまがた”をより多くの方に知っていただくことができた貴重な会議にもなりました。
大友監督、眞島さん、倉崎さん、そしてご来場頂いた皆様、誠にありがとうございました!
尚、例年公開しているやまがた創造都市国際会議の報告書のPDFについて、今年度はこの報告ページをもって代わりとさせていただきます。楽しみにしてくださっていた皆様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
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