ユネスコ創造都市やまがた

YAMAGATA CINEMA PARADISE vol. 3 ~ 優しい気持ちになれる『凪待ち』 ~

PICKUP
 YAMAGATA CINEMA PARADISE vol. 1

『凪待ち 

(監督:白石和彌/2019/124分/日本)

映画都市として認定を受けたユネスコ創造都市やまがたのスタッフが、各々のおすすめ映画をSDGsとともに紹介する新コーナー「YAMAGATA CINEMA PARADISE」。

 

今回は函館出身のTがお送りします🦑

 

私のおすすめ映画は

『凪待ち』です。

 

『孤狼の血』、『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石和彌監督が香取慎吾さんを主演に迎えた人間ドラマです。

 

あらすじ

職場をリストラされた主人公の郁夫(香取慎吾)は人生をやり直すべく、恋人の亜弓(西田尚美)と彼女の娘・美波(恒松祐里)とともに石巻に移住する。しかし、やめたはずのギャンブルに手を出すなど郁夫の生活にほころびが見え始めたある晩、取り返しのつかないことが起きてしまう-。

 

この映画は、香取慎吾さん演じる主人公の郁夫が非常な現実に打ちのめされながらも、周囲の人々に支えられながら、少しずつ立ち直っていく「喪失と再生」を描いた作品です。

作品の舞台は宮城県石巻市で、震災を克服しようとする町これまでの自分を捨てて新しい人間になろうとする登場人物たちを重ねて描いています。

私が感じたこの映画の凄さは、全編を通してカメラワークが非常に巧みだということです。特徴的なカメラワークの一つとして、物語の序盤では、複数の人物が会話する場面で、画面上に映る人たち全員にあえて同時にピントを合わせない独特な演出が多用されています。この手法により、その場にいる人たちは、一緒にはいるものの、心が孤立している印象を受けます。

そして、物語が進んだ終盤に、画面上に映る登場人物たちが、同じ一線に並んで、全員にピントが合うという場面があります。この場面は物語と演出、そして香取慎吾さんの熱演が見事に合致した感動的なワンシーンなので、ぜひ劇場で確かめてみてください。

 

SDGsは11番(住み続けられるまちづくりを)。

人間誰しも生きていれば厳しい波が立ち、転がり落ちてしまうこともあります。けれど、同時に人間には生きていれば、いつの日か、心に穏やかな凪が訪れる時が来るということをこの映画を観て思いました。

 

白石監督らしい現実の不条理、痛みを描いた作品ですが、見終わった後は優しい気持ちになれる映画です。

現在全国順次公開中で、近隣では北海道や宮城県で上映されています。山形県内の映画館では7月にイオンシネマ天童で公開されました。次に山形の映画館で観られる機会を心待ちにしています。

ぜひご覧ください!

 

『凪待ち』公式Website

『凪待ち』予告編

*「YAMAGATA CINEMA PARADISE」は事務局員が 「これだ!」と思う映画に出会った時に更新するので、不定期更新です。

*この意見は個人によるもので、山形市や山形市創造都市推進協議会を代表するものではありません。

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